Logical One calibre

キャリバー名:ロジカル・ワン
巻上げタイプ:手巻き式
機能:時、分、スモールセコンド、パワーリザーブ表示
サイズ:直径35.5mm、厚さ10.5mm
パワーリザーブ:46時間
石数:63石(フュゼチェーン26石を含む)
部品数:359個
振動数:毎期28,800回

ロジカル・ワンの特徴として、フュゼチェーン機構、プッシュボタン式巻上げ機構、サファイアのインサートが組み込まれた香箱、機構なムーブメントの仕上げが挙げられます。ローマン・ゴティエは次のように述べています。「技術者出身の私にとって、動力が変動する状態で精密機器を作動させるのは奇妙に思われました。動力を一定に保ちながら精密機器を作動させることを前提で開発を始めたのです。」

フュゼチェーン機構

フュゼ(フランス語で「円錐形」の意味)は、香箱に取り付けられたコードまたはチェーンで巻き上げられる円錐形の滑車です。この機構は、主ゼンマイから供給されるトルクを一定にする働きがあります。(主ゼンマイが巻き上がられた状態と、ほどけていく状態では、供給されるトルクが変化するため。)

懐中時計の時代に使われていた、フュゼチェーン

懐中時計の時代にもよく使われた機構ですが、伝統的なフュゼチェーンには、以下の2つの問題があります。

  1. フュゼに複数回チェーンを巻きつけるため、個々のリンクを小さくする必要があり、一つ一つのリンクが脆い。
  2. チェーンは、フュゼと香箱の間を、角度を伴って動力を伝達することが多いが、これでは効率が悪く、負荷が加わる。
スネイルカム

そこで、ローマン・ゴティエはこれらの問題の解決策として、フュゼの代わりにスネイルカムを使用しました。ローマン・ゴティエはフュゼの代わりに、低速で回転するスネイルカムを時/分ダイヤルの左側(10時位置)に配置することによって、これらの問題を解決しました。スネイルカムと香箱を同じレベルに配置することにより動力が常に直線的に伝達されます。また必要となるのが、一列の短いチェーンのみなので、個々のリンクがより大きく強靭です。そしてルビーをチェーンのリンクとして採用して金属に接する部分の摩擦を低減しました。

ルビーのチェーンリンク

人間工学に基づくプッシュボタンによる巻上げ

ケースの左側にあるプッシュボタンを使ったローマン・ゴティエの革新的なプッシュボタン式巻上げ機構は、巻上げを楽しい作業へと変えました。プッシュボタンは人間工学に基づくデザインであると同時に、巻き上げの力を効率よく伝えます。一般的に時計のリューズは比較的壊れやすい細い軸を持ち、リューズと香箱の間で動力を90°の角度で伝えなければなりませんでした。しかし、ロジカル・ワンのプッシュボタンによる巻上げ機構は、その動力を同じ平面上で香箱に伝えます。

サファイアのインサートが組み込まれた香箱

従来の真鍮製の香箱で主ゼンマイが巻き戻る際には、潤滑油をさしたばかりでも、金属であるゼンマイと香箱に摩擦が生じます。また、時間とともにオイルが凝結すると、摩擦が大きくなり香箱とゼンマイが癒着してしまい、本来のスムーズな回転ができなくなります。

そこで、「ロジカル・ワン」の主ゼンマイを香箱に組み込んだ2枚の人工サファイアプレートの間に置きました。サファイアは金属との摩擦が少ないという特性だけでなく、傷が付きにくいという特性も持ち合わせています。

手作業によるムーブメントの仕上げ

高い加工精度で作られたパーツは、手作業により仕上げが施されます。例えば、ムーブメントのブリッジ(受け)に施された、高度に研磨された内側の鋭い面取りは、手作業による優れた仕上げを証明するものです。なぜなら、内側に鋭い面取りを行うことのできる機械は今も存在しないからです。ロジカル・ワンにおいては、内側の鋭い面取りを二重に施すことで、縁取りのような効果を出しました。平行な2つの面取りを施したこの人目を引く仕上げは、名画を収めた額縁の果たす役割と似た効果を上げており、主役である芸術作品をさらに美しく引き立てています。

例えば、写真のテンプの「ブリッジ(受け)」(写真の円で囲まれた部分)だけでも手作業による仕上げに約15 時間費やします。

コンスタントフォース機構の「ブリッジ(受け)」(写真の円で囲まれた部分)は約17時間です。その工程には手で面を削り出し、磨く作業、受け石を置くほぞ穴をも手で磨く作業や、フラット部分にフロスティングを施す作業が含まれます。しかし、これは一つのパーツに過ぎません。ロジカル・ワンは約350の部品が幾種もの金属で構成されており、その全てを一切妥協を許すことなく作り上げています。

Insight Micro-Rotor calibre ›

インサイトマイクロローターのムーブメントはスイス・ジュウ渓谷にあるローマン・ゴティエの工房で、設計から開発、製造、装飾、組み立て、そして調整までが行われています。